Log(きょうごく)

きょうごくのLog

都内在住の大学生の日記風ブログです。いや日記です。

ベランダから

 僕が1人暮らしをしている部屋のベランダには、段ボールの中に段ボールを詰め込んだ、イスと呼ぶには頼りない腰を掛けるためのそれがある。そこに座ってイヤホンつけて音楽聞いたり動画みたり煙草ふかしてビール飲んたりして黄昏れてみて自分に酔いしれるのが好きなのだ。どうも最近はいつも寂しくて、本当は誰かと映画でも一緒に見たりお酒を飲んだりしたい。このご時世じゃなかったら誰かにそう求めているのかというと、どうなんだろう。そんな感じで独りベランダで気分を濁している。

 そもそもの頻度が少なめではあるんだけど、一応罪悪感というか近隣住民への迷惑を考えて夜遅くか早朝にしか煙草は吸わない。それに隣のベランダに洗濯物が干しっぱなしだったりしたら吸わない。つまり勝手に隣のベランダを覗き見しているのだけど、そのことについては罪悪感は感じない。勝手にお隣様のベランダを覗き見している僕は、左隣の部屋の学生は彼女と半同棲状態らしいことや、右隣りの人がこの春に引っ越してきて几帳面にも布団を週に何度も干していることを知っている。

 ベランダで腰かけて顔も名前も知らないお隣さんたちの生活に想像を巡らせてみることがある。左隣の人は、寂しさに満ちて乾きぎみな僕の部屋とは対照的できっとアロマが焚かれたりしているのだろう。外出自粛だから今日もおうちデートだねとか言って。素直に羨ましいなあと思う。右隣の人はおそらく上京してきたばかりの新大学生だったりするのだ。新生活の期待に胸を膨らませてやってきたけど、コロナのおかげで大学は封鎖されていて、友達の1人もいなくて不安や寂しさを抱えながらオンライン講義とか課題とかをこなすだけの毎日を繰り返しているんだ。例年通りなら講義がサークルがバイトがの新生活をエンジョイできたはずなのにと己の不幸を呪い、そんなありきたりな生活を送ってきた全ての人に嫉妬しているのだ。あるいは未だに質素で無機質な自分の部屋に閉じ込められているのが嫌になって鬱憤を晴らしたくて、試しに左隣のベランダを覗いてみたりするかもしれない。そしたら僕は彼と友達になれる気がするのだ。僕が、例えば「お隣さん通し仲良くしましょう」なんて言って隣の部屋のインターホンを鳴らしても上手くいかないとしても。

 最近の東京の夜は過ごしやすくてベランダにいる時間が長くなった。下の駐車場を眺めていると、よく猫がいるのを見つける。白と黒のぶち猫。いつもそこを通るときには見ることがないのに、夜ベランダから見下ろすと車の間を縫うようにのんびりと歩いていたり街灯の光の下に居座っていたりしている。今まで2度、4階の僕の部屋から大急ぎで駆け下りて駐車場に出て猫と触れ合おうと試みたことがあるけど、どちらもふられた。その短い時間で駐車場から出て行ったのか、車の下に隠れているのか。求めてみてもつかめないもの、と信じかけている。