Log(きょうごく)

きょうごくのLog

都内在住の大学生の日記風ブログです。いや日記です。

友達の寂しくなりだした頭皮が、

 僕は将来、ハゲる。

 父さんは僕がものごころついた時から寂しい頭をしていたし、おじいちゃんもつるっぱげだ。父方の親戚のおっさんたちは例外なくハゲばかり。おじいちゃんが僕の癖のある髪の毛を触って、「俺といっしょの髪質だ!」と言ったことがありお墨付き。だから僕の悲しき運命は不可避のものだと確信してるし、受け入れている。

 せめて結婚するまではアンチエイジングに励み、そのときが来たらば潔く丸めようと若干二十歳の時には既に決心はしていた。逆に言えば、まだまだ先の話だとも思っていた。が、認識を改めなければいけないかもしれない。

 1年ぶりに会った地元の友達の頭が、少しヤバかった。中身ではなく、外面が。

 彼は僕と同い年で21歳だ。まだまだ今どきの若いもんだ。彼は昔から女によくモテたし、僕が女だったらきっと惚れてたと思う。そんなかっこいい友達なのだが、悲しいかな、久しぶりに会った彼の頭頂部がどうにも怪しかった。

 最初久しぶりに会ったときはなんとも思わなかった。何も違和感を感じなかった。しかしこたつに入っている彼を上から見たとき、「あれ?」と口に出しかけた。1度気になりだすとどうも目がいってしまう。別の友達の転職したことや結婚したことや高校生の妹の友達とホテルにいったことなどインパクトがありすぎてありあまるエピソードを聞かされてる間も僕は終始彼の頭が気になって仕方がなかった。よく観察すると頭頂部だけでなく全体的に密度が心配だ。以前会ったときもかくも頼りない頭だったろうかと記憶の中の彼を呼び起こすが、その自分の記憶が頼りない。あまり気遣いが得意でない僕だが、さすがに「もしかしてハゲた?」などと直球ストレート160キロど真ん中を投げることなどできずしばらく悶々としていた。

  すると彼のほうからーー僕の心配と少しの好奇の混ざった高めの視線に気付いたからかもしれないがーー職場でハゲをいじられていることを自虐的に話した。ここ1年くらいで進行しているらしく、「最近ハゲたなあ!」と頻繁にネタにされるらしい。やはり彼の頭に暗い変化を見たのは僕の思い込みのせいではないらしい。ただ、同意を求めるように頭を下げて見せる彼に「マジじゃん! ヤバ!(笑)」と言えたら笑えたかもしれないが、昔から大好きな彼のそんな姿を見てネタに走りもできなかった。その彼の職場の人とやらも、もう少しオブラートにというか、彼を慮ってくれても良さそうなもんだ。職業柄ヘルメットを被りっぱなしがちなことが彼の薄毛の原因のひとつかもしれないが、ストレスもその一因でやしないか心配だ。スカルプDでもアートネイチャーでもいいから彼を救ってはくれやしないだろうか。

 しかしあれだ、彼のハゲは他人事ではない。彼の家系だってハゲの遺伝子を紡いではいるが、僕の家だってその点負けてない。彼は僕たちの年齢でも頭皮に濃い影を落とすことを、もとい濃い影を作りだすような油っぽい光を放つ未来の前兆を見せることを教えてくれた。育毛に早すぎることなんてないかもしれない。