Log(きょうごく)

きょうごくのLog

都内在住の大学生の日記風ブログです。いや日記です。

行く年来る年、来い恋

 ここ最近一週間くらいはほとんどバイト漬けの毎日だった。友達に誘われて始めた塾講師のバイトだ。学校が冬休みになるこの時期は高校や大学の受験が目前で、塾は冬季講習期間とやらで忙しい。

 まだ毛の生えかけたような新人の僕は、それにもかかわらず最近は人手不足でてんてこまいのどこぞの教室にヘルプのために片道1時間もかけて通っていた。朝から夜まで授業(個別指導ではあるけど)をして、帰ったら泥のように寝るだけ。きつくはあったが、以前やっていた飲食店のバイトと比べれば座っていられるだけ楽だった。何より中高生の生徒と喋っているのは楽しくて性に合っていた。それに、まるで犬か猫のような扱いだけど、生徒の子たちは一時的に勤務してるだけの僕によく懐いてくれた。

 ある中学生の女の子は特に僕によくなついた。彼女はよくパーカーにダメージデニムのジャケットを羽織って黒地に白のラインパンツを身につけているような子で、明るい性格でよく喋り、それでいて年相応の子どもらしさのある女の子だった。彼女は、一時僕と良くしていた女の子と名前が一緒で、どことなく快活なところが似ていたりもした。頭の中で少し重ね合わせないこともなかったが、所詮中学生ーー生徒の中には大人びていてドキッとさせられるような中学生の女の子もいたがーーにどうこうということではなかった。

 その彼女が、クリスマスが過ぎ去って間もないとき、イブも当日も塾でアンニュイに過ごしたことを嘆いていた。そうして彼女同様に塾でクリスマスを過ごしていた僕に当たるように言った。

「センセーってカノジョいないでしょー? 今までいたことあるのー?」

 件の名前を持つ彼女に言われると少し笑えることでもあったが、サえない男だと思われていると思うと少し悔しかった。とは言え、(かの女の子とは関係ないが)図星だというわけでもなかったが中学生の女の子に見栄を張るのも恥ずかしいので、やはり適当な冗談を言ってごまかしてはなんだか寂しさを感じたりもした。彼女が僕にくっつくように「センセーここ分かんない」と言えばその頭を撫でたくなった。そのかわりに「そんなの簡単だよ」とバカにした。

 僕のヘルプ勤務期間は昨日で最後だった。彼女は帰るとき、僕の背中にぶつかって、バイバイと言ってはにかんだ。短い勤務期間ではあったが、今まで見せたことのないような彼女のおぼろげな表情を見て、ここにはもう来てはならない気がした。いつも通りバイバイと言って、見送らなかった。僕が勤務を終えて塾を出たとき、駅まで歩きながら暗く遠い空を見上げてどこか知らない場所を思い浮かべた。

 今日、1年以上前にオーストラリアに短期留学をしていたときに仲良くしていた日本人の友達から久しぶりに連絡が来た。その時の楽しかった思い出はつい最近のことのように思い出されたけど、だからこそーーどんな用件かは分からないがーー今さら会おうという気にはなれなかった。でも、もし僕の預かり知らぬようなどこかを紹介してくれるのならば話は別だけど。