Log(きょうごく)

きょうごくのLog

都内在住の大学生の日記風ブログです。いや日記です。

大人になりたい

 例えば、世の中には子どもがこぼしたドリンクで服が汚れたので親にクリーニング代を請求する大人がいるかもしれない。また、こどものドリンクをこぼさせてしまったとドリンクを買ってあげる大人もいるかもしれない。

 

 今日は先週の続きの学生実験があり、提出しなければならない課題があった。前日の睡眠時間を削って考えたが、どうしても分からない課題、納得のいかない設問があった。それを今日の実験の時に教授に聞いた。素直に分からないところを分からないと言い、教えを求めた。するとどうだ、僕は教授の嫌味を含んだ物言いにボコボコにされた。

——君はこれをこう考えてるの?違うよね?

——教科書に書いてある通りだ、君がちゃんと勉強してきたなら分かるはずだ。

——そんなことは実験が始まるまでに知っておくべきことやろ。勤怠点(遅刻やレポート提出の滞りによって引かれる評価点)を引いてあげようか?

——君に一から十まで教えなきゃいけないの?

 もはやさらし者だった。なぜこんなにボロクソ言われなきゃいかないのかと腹が立った。今日は風が冷たく体は冷えていたはずだけど握った手には汗をかいた。教科書を読んでも分からないものは分からないのだから教えてほしいというのに。それとも教授からすれば僕が理解できない所以こそ分からないのだろうか。……いや、ボロクソ言われたのは僕の態度のせいなのかもしれない。

 

 昔から、年上の人間に嫌われることが多かった。

 小学生のとき、友達が3つ年上の上級生に泣かされ、その上級生に生意気にも文句を言い放ち反撃してしばらくの間いじめられた。

 中学生の時、上級生に怒鳴られながら声を張り上げる昭和を彷彿させる応援歌練習が理不尽に思えて仕方なく、どんなに怒鳴られようが無理せず歌っていたら目をつけられ”指導”のターゲットにされた。

 高校生の時、えこひいきで有名な先生がいて、特別理由やきっかけがあったわけではないと思うけど、僕はその先生の「気に食わない生徒」枠の筆頭だった。

 僕の面倒をよく見てくれた先輩が過去にいなかったわけでもないけど、年上にいい後輩の顔をする、もっと言うなら媚びを売るのは苦手だった。立場や年が上の人間の前だと天邪鬼に振る舞ってしまうのか、目の敵にされることがときどきあった。

 

 そして今日のことである。教授にボロクソに言われたのは教授から見て僕が勉強不足で不真面目なとんちんかん野郎だったせいかもしれないが、もしかしたら僕の年上の人間に対するひねくれ精神を無自覚にも態度に醸し出していたせいでもあるかもしれない。僕は素直に質問しただけだったんだけど。でも、やはりそんなひねくれものの僕は教授にボロクソ言われた後で黙ってるのは性に合わなかった。教授の顔が高校時代のあのえこひいき教師の顔と重なって見えた。僕はそそくさと身を引くどころかさらに質問と疑問を重ね食い下がった。というかほとんど文句を言っていた。曲がりなりにも真面目に課題に取り組んだという自負だってある。上っ面だけそれっぽいことを書いて空白を埋めた学生(別に彼らの姿勢を否定する気は全然ないけど)と一緒にされてたまるものか。みんなぶっちゃけよく分からないけど正解らしいことを書いて提出してるのだ。僕がこの課題の疑問を教授の口から引き出した説明をもって解消してやると気合すら入った。

 

 結局、散々ボロクソ言われ続けた後にようやく理解できた僕は課題を提出した。だが、それでも設問の内容は理解できても意図の分からない課題が設定されていたので憂さ晴らしにケチをつけた。この課題は何のために設けられているのかと。なんと自分の性悪なことよ。だが、想定に反して教授の口から出たのは嫌味たらしい理屈ではなく、「確かにこれは君が正しいです」というあっさりとした回答だった。拍子抜けした。その時の顔は高校時代のあの教師のそれとは違って見えた。

 腹立たしさが落ち着いたころ、友達がその教授と談笑していた。なにか胸の底につっかえるものを感じた。実験が終わるとき、教授は僕に「おつかれさん」と言った。とたんに恥ずかしくなった。丁寧にお礼を言ってから急いで家に帰った。