Log(きょうごく)

きょうごくのLog

都内在住の大学生の日記風ブログです。いや日記です。

本をおススメするのはおススメしない 【『夢をかなえるゾウ』を読んで 】

 友達に面白かったとおすすめされた、『夢をかなえるゾウ』という本を読んだ。有名な本だしタイトルは聞いたことがあって気になってはいたので、さっそくブックオフに行ってみたところ、1.2.3 と全てのシリーズが置いてあり値段も全て200円と安かったので全部買った。

 とりあえず1(無印)だけ読んでみたのだけど......これがなんと、全然面白くなかった。本当に面白くなかった。ここまで人様の著書をこき下ろしてもいいのか疑問だけど、もうそれはそれはつまらなかった。

 一応言い訳、もとい弁明をしておこう。そもそもブックオフで買った時点で、〈小説〉の棚ではなくて〈エッセイ〉の棚にあった時点で「??」とはなった。いや、小説とエッセイの違いなんて全然知らないのだけど、同じ棚に並んでいる本のラインナップを見て、「なんかちがうくない?」と思った。

 『夢をかなえるゾウ』は物語じゃなくて物語風に書かれた自己啓発本だ。というか作家もそのつもりで書いたのじゃないかな。本の末尾には偉人索引と大量のビジネス書の参考文献が載ってる。

 つまり、おすすめされた本のジャンルが僕の好みと合わなかったのよ、と言いたい。

 

 一応簡単に本の紹介。興味のない人、読んだことのある人は適当に飛ばしてください。

 あらすじは、ある平凡な会社員の主人公の男が、ガネーシャと名乗るゾウのような長い鼻をもつ関西弁を話すおっさんのような神様に出会い、ガネーシャに出される『お題』を毎日こなしながら成長する物語、ってかんじ。

 構成は割とシンプル。

 ガネーシャがその日の「お題」を出す。

→主人公が「そんなんなんの意味があるのか」とごねる。

ガネーシャが関西弁でコミカルに語る。

→主人公やってみる。

→お、意外と発見あるぞ。

 の繰り返し。

 ガネーシャは宙に浮くことができたり変身ができたりと「神様」だけど、その性格は怠惰なおっさんとして描かれている。主人公は「変わりたい」と思っていて、過去に様々な偉人をプロデュースしてきた(らしい)ガネーシャは主人公に毎日「お題」を突きつけ、それを通じて人生や成功について語る。ちなみに「お題」の内容は「靴を磨く」「人の長所を盗む」など。一見意味が無いようなものもそうでもなさそうなものもある。ガネーシャは関西弁で喋るキャラのまんまコミカルなキャラで2人の掛け合いも笑えて面白い。

 サザエさんと一緒で各章の前後のつながりはそこまで問題ではない。実際ドラマ化されたみたいだけど、先週の話を見てなくても楽しめるスタイルだったろうなと想像する。

 

 さて、紹介はここまでとして個人的な感想を。「自分を変えるためには意識ではなくて環境を変えろ」とか「応募をしろ」とか、もうね、めっちゃどうでもいいの。いや、良いこと書いてあるなあって思うけど、生理的に無理なの。

 ガネーシャに諭され、主人公が過去にやらずに後悔していることを考えるこんなシーンがある。

 途中でやめてしまった英会話の勉強。告白したかったのに告白できなかった中学生の時好きだった女の子......。ありとあらゆる後悔を思い出してみた。

 でも一番後悔しているのは——。

 僕は本当は建築の仕事に就きたかった。

 きついわあ。いくつかあったけど、すぐ思い出せたところだとここは性格の悪い僕にはきっつい。主人公は結局有名な建築家になったとラストで匂わせられるのだけど、つまらん!うまく言えんけど、かゆい!

 どうせならその中学生の時に告白できなかった女の子に長い時を超えて告白をして見事お付き合いすることに成功するも、「やっぱなんか違うな。俺が本当に好きだったのは大学時代の元カノだったんだ!」と思い直し、しかしまた同じような思いに陥り、女をとっかえひっかえしながら人生の成功を真実の愛の探求とみなした男のストーリとかが見たい。その過程で成功に必要なものをガネーシャと共に学んでもらいたい。

 まあ『夢をかなえるゾウ』は小説じゃなくて自己啓発本(だとみなす)なのだからそんなケチつけるほうがナンセンスだとは思うのだけど、僕は人生と成功に語られるのがちょっと、いやすんごく苦手なので、面白くなかった。

 おすすめしてくれた友達に悪い。仲の良い友達だけど、おすすめされた本に「全然面白くなくて寒気すらしたわ~」とダイレクトに言えるほどの関係も僕の度胸も築けてないと思う。本とか映画とかをおすすめされると、要求される感想は「面白かった!」の一点に脅迫されると思う。何かの漫画でこのことを感想ヤクザと呼んでいたけどセンスいいよね。まさにヤクザ。はいかイエスかオスかどれや?みたいな。

 今の所、もし感想を求められたら「僕には合わなかったかな......」というソフトな表現をしようと思っているけど、そもそも「本をおススメする」ということ自体がこのような葛藤を生むのだと思う。僕は人生における重要なことをこの本を通して学んだ。ガネーシャ風に言うなら、「本にも映画にも言えることなんやけどな、おすすめするっちゅうんは覚悟を持ったヤツしかしちゃいけんのや」ってところかな。