Log(きょうごく)

きょうごくのLog

都内在住の大学生の日記風ブログです。いや日記です。

【日記】にわかが徹夜明けでNissyのライブへ

 新大阪終点ののぞみに乗って良かった。気が付いたときには車内の人たちはほとんど降りかけていた。慌てて重いリュックを背負ってホームに降りる。

 一時間半くらいは寝られただろうか。まだ、頭が重い。前日の金曜日は週明けに提出しなければならない課題やレポートに躍起になり徹夜だった。土曜日はNissyのライブ、日曜は食い倒れ観光と遊び倒す予定なので仕方がない。終わりの見えないレポートのためにノートパソコンが入ったリュックは疫病神のように背中に重くのしかかる。

 大阪は東京と違って右側に並ぶんだったなとぼんやり思ってエスカレータに向かったが、東京方面からやってきた老若男女は大阪のルールに倣おうとする人と東京の習慣で並ぶ人が混ざっているのか2列とも止まってエスカレータに乗っていた。そういえば最近はエスカレータの片側空けはよろしくないという風潮らしい。ここだけは最先端だ。

 改札を出る前にドトールで眠気覚ましにコーヒーを一杯注文して一息つく。ふと、自分は人生で初めて大阪に来たという事実を思い出した。今朝は、ちょっと新宿まで行ってくるみたいなノリで家を出た。誰にそう言ったわけではないけれど。東京から新大阪まで二時間半という長くない道のりはその事実をなんでもないように感じさせた気がする。一度コーヒーで落ち着いた体は、その腰を上げるのが億劫になって、ライブとか道頓堀とかそんないいもんだっけなどと思った。

 だから、あとからやってきた友達とはすごい温度差を感じた。遠足前の小学生顔負けの胸の弾ませようで、ライブがいかに楽しみかや観光計画を語る彼の表情を、鏡写しにするように豊かな表情にするように温度差をなくすよう努めた。

 元々Nissyのライブに行こうと言い出したのはその友達で、自分は全く関心がなかった。寧ろあのアイドル被れのくさくて甘い歌を歌う30過ぎの男がそんなにかっこいいかと毒づきたい。だが、多くのファンが女性であろうはずのそのアイドルみたいな男をなんで男のその友達がお熱なのかを理解できないことを踏まえても、他人の趣味を否定する気はない。自分の好きな彼が一緒に行こうと誘ったことが、全く興味のないライブに行く理由としては十分だった。

 それでも、せっかくライブに行くのだからどうせなら楽しみたい。かたっぱしからにっしーの曲を事前に聞いた。ツイッターで振付けも予習した。

 だが、ライブの一番最初の曲の聞き覚えはなかった。当然戸惑う。後で知ったが新曲だったらしい。だが、そのほかの曲はまあまあ耳に覚えがあって、なかなか楽しめた。やはり、曲を覚えているか覚えてないかはライブを楽しむ上で重要だ。振付も、会場中のお客さんが一心同体になって同じ振付をしているのに、自分一人出来ないときつい。バイトで新人だったころ、他のスタッフが忙しそうに動きまわっているのに自分ひとりすることが分からなくて棒立ち状態になったときにちょっと似てる。大まか覚えていったつもりだが、それでもついていけないときは多々あった。

 女性たちがにっしーの歌やダンス、セリフに黄色い歓声を上げるたびに、自分もそのキンキンとした高音で叫びたいと度々思ったが、男にはできない。時々「にっしー!」という低い声が会場のどこかから聞こえてきたが、やはり悪目立ちした。

 そうこうしてライブは終盤を迎え、にっしーが舞台袖に消えた。会場中のにっしーファンが一度席に座る。自分も同じように座る。だが、会場はアンコールで沸き立つ。毎度おなじみの展開なのだろう。自分も手をたたいてアンコールを叫ぼうとした。が、瞼が急激に重くなった。そのあたりだけ重力が強くなったみたいに感じる。一度席についたせいか、それまでハイテンションの影に身を潜めていた眠気が急激に押し寄せる。

 ふと、頭がカクンと落ちた。その瞬間に自分がほとんど目を閉じて意識をどこか遠くへ置いていこうとしたことを自覚した。慌てて頭を上げる。このアンコールの盛り上がりのさなか、うたた寝していると隣の友達に思われたらやばい。友達はときおり鼻のすする音すら聞こえさせたくらいには生のにっしーに感動している。完全に逆側の隣にいる地味な中学生くらいの女の子と反応がリンクしている。もし、そんな彼に今の自分の状態を悟られたら、間違いなく引かれる。ここは耐えなければ。必死に顔をあげ、手を叩いて、声を上げた。

 そしてにっしーがアンコールに応え、もう一度登場した。そして歌い始める。立ち上がり、ライブの空気に必死についていく。よし、やはり立ち上がったら眠気が遠慮してきた。そうも思いながらもアンコールで3曲もしなくていい、もう終わってくれと懇願していた。そうして、アンコールも終わり、にっしーと今度こそお別れをした。ああ、終わったかと安堵しかけたが、なんとなく様子がおかしい。席を立ちはじめたお客さんも見られるが、まだ席に座ったままの人が多い。まさか、と思えばやはり、三度にっしー登場。もう疲れた、限界だと思いながらも、隣の友達の静かに感動している横顔を一瞥して力強く立ち上がった。