Log(きょうごく)

きょうごくのLog

都内在住の大学生の日記風ブログです。いや日記です。

【日記】賞金10万円のフットサルの話

 ある日、サークルの先輩(フットサルのサークルではない)から電話がかかってきた。サークルで顔を合わせることはよくあったが、所謂プライベートではほとんど交流がない先輩なので何事かと思う。「水曜の夕方から空いてる?」といきなり言われても、その用事次第では返答が変わりかねない。実際、その日の夕方は一応別のサークルの活動もあったので、全く持ってフリーというわけではなかった。ただ、行くのが義務ではないし、普段から積極的に参加しているほうでもなかったので、その用事次第では優先順位は下がるだけだ。

「たぶん空けることはできますけど、どういった用事ですか?」

 それとなしに、もしかしたら無理かもしれないという雰囲気を醸し出しながら聞く。行けたら行きます、みたいな灰色な返答をする伏線を張る。

「フットサルのイベントがあるんだけど来れない?」

 先輩はそう言って続けた。

 話をまとめると、先輩は友達と一緒にフットサルのイベントに参加することにしたが、その友達がドタキャン。その友達の分の加費2500円を既に支払ったらしく、急遽フットサルができるやつを探しているという話らしい。

 確かに自分は高校までサッカーをしていたし、サッカーサークルに所属してはいるが、そこまで熱心でもないし、あまり上手くもない。さほど仲が良いというわけでもない後輩を誘うにしては理由が弱い。ほかにもいくらでも適役がいそうな気がする。と思いもしたが、面倒事の雰囲気はしなかったし、その2500円も自分が払う必要はないらしいので快くひきるけることにした。寧ろ多少面倒だったとしてもこういうのは首を縦に振っておくほうが良いと思っている。先輩の誘いは断るなと誰かが言っていた。

 それにしても参加費2500円は高いなと感じた。しかし、その時はまだ賞金の話を聞いていなかったのだから仕方がない。

 

 そういうわけで当日、幾度となく通り過ぎたことはあっても降りたことのない駅が最寄のフットサルコートに来ていた。暇を持て余して仕方がないといった感じの若者がおよそ50人弱。想定していたより人が多くてビビってしまったが、中には初心者も普通に参加していると聞いて安心した。

 ほどなくして、全員で輪になって趣旨説明が行われた。イエー!みたいなノリとともに。

 形式は5人ではなく、6人制のフットサル。1チーム7~9人で合計8チームほどのリーグ形式。最終成績上位の2チームで決勝戦を行うといったもの。

 そして、驚きの優勝賞金が発表された。

 なんとその額10万円!

 なるほど、参加費が2500円もするわけだと納得した。優勝すれば一人当たり1万以上は獲得できる。もはやギャンブルだ。

 やはり金がかかっていると人間真剣になる。いつになく本気でピッチを駆け回った。が、春休みにサッカーどころかランニングのひとつもしていなかった運動不足の体は全くもって動かない。走ってはすぐに膝に手が着いた。

 しかし、自分たちのチームには結構上手な人が一人いたおかげか、初心者がキーパーをしていた割には勝ち進んだ。最終成績は3勝1分け。これは決勝進出確実だな、とチームに確信の空気が流れていた。

 だが蓋を開けてみると、全勝が1チーム、同成績の3勝1分がもう1チームいた。

 運命はちょっとチャラいイケメンのリーダーの拳に託された。すなわちジャンケンにたくされた。

「ジャンケンポン...!」

 

 彼は後に語った。

 あそこはやっぱりグーだった、と。

 そう言ってみんなにジュースをおごってくれたのだった。