Log(きょうごく)

きょうごくのLog

都内在住の大学生の日記風ブログです。いや日記です。

このこを見てほしい

 いやあやっと終わった。テストがやっとこさ全部終わった。対留年の戦いがやっと終わった。ぶっちゃけ不安はあるけど、終わったことは過ぎたこと。人事は尽くしたつもりなので後は天命を待つほかない。とりあえず今は全力で春休みを楽しむことだけ考えたい。

 そうそう、今テストから解放された僕の頭を占めているのは忌々しい数式やらなんやらではなくこのこ、この電子ピアノだ。

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でかい

 ほとんど衝動買いしてしまったこの電子ピアノ。これは春休みの間毎日でもやりたい。ていうかぶっちゃけもう最近毎日弾いちゃってた。楽しい。おかしいな、実家にも電子ピアノあったのになぜ昔はほとんど見向きもしなかったんだろう。不思議だ。あのこはもっと愛すべき存在だった。

 しかしまあ今までは決して広くない自分の部屋を不便に思ったことはほとんどなかったんだけど、寧ろ広すぎても落ち着かないよねとすら真剣に思っていたのだけど、このこが我が家に来てからはそうとも言えなくなった。今は完全に机の上を占拠してしまっている。ていうか大きくはみ出しちゃってる。

 本当はね、このこを載せる用の折り畳み式のスタンドも一緒に買ったんだよね。でも届いた日にルンルンで説明書ノールックで組み立てたら失敗しちゃってね、しかも分解してもう一回組み立てなおそうにも不器用な僕はネジ山を潰しちゃって分解不可能不可逆な感じになっちゃたりしてね......仕方ないから机の上に載せてこうやって楽しんでいるわけなんだ。これでも弾くぶんには不便しないけど、頻繁にこたつの上と机の上を行き来させなければならないのは面倒で。このこ結構重くって。やっぱりこのこの定位置が欲しい。どうにかスタンドを修理するか買いなおすかしようかしら。でもそうなるとこたつの居場所が怪しいんだよね。う~ん、贅沢な悩みだ。

 あと、やっぱりせっかく電子ピアノを買ったから誰かを家にお招きして自慢したい。このこを、電子ピアノを買ったこと自体を自慢するような体裁を作るけど、ピアノ弾けるなんてかっこいいと言ってもらいたい。自分で書いて自分で読んで満足できるなら僕はこうやってインターネットという大海原に自分の日記のようなものをぷかぷか浮かべていたりはしないもの。誰かのために書いてるわけじゃなくて自分のため以外のなにもんでもないけど、やっぱり誰かからのリアクションがあると嬉しい。それに人に見せることは継続につながると思うし。だから夜な夜なヘッドホンをつけて自分の世界で鍵盤をたたいて遊んで大満足、とはならないから誰かに披露して月並みなお世辞でもいいから誉めてもらって承認欲求を満たしたい。そしたら毎日続けられそう、というか楽しめそう。

留年はしたくない!

 世の大学生はもう春休みだよんって人も多いでしょうか。僕はあと10日ほどで春休みなのですが……

 留年が怖すぎてやばい。

 すでに中間テストが壊滅的(9点とかだったかな…)だった科目と中間テストをすっぽかしてしまった科目の単位を諦めると留年を回避するのに僕が今期落としても許されるのはあと1科目だけとなっている。まだぎりぎりなんとか耐えられる。あと約10日でテストは3つ。頑張れ俺。踏ん張れ俺。

 しかし何かの間違いで取れてると見込んでた単位を落としてたらどうしてしまいましょうと気が気ではない心境の今日この頃です。ああつらい。昨日のテストもすっごい緊張した。中学生のとき全校生徒の前で校歌斉唱の指揮をやったときくらい緊張した。宙に構えた両手がぶっるぶるだったあのときよろしくペンを持つ手が震えたぜ。

 いやもう本当にね既に春休みを満喫してらっしゃる大学生の話を聞くと怒りすらこみ上げてくる。彼らは何も悪くないけど留年に怯えるストレスを抱える僕は彼らに中指立てたくなっちゃう。そんな自分が不憫だ。でもやっぱりテスト余裕単位楽チンだったなんてのさばってるやつらを見ると如何に自分が頑張っているにも関わらず辛酸を舐めさせられているかと不幸自慢をしてマウントを取りたくて仕方がない。実際のところ寝る間も惜しんで勉強してるって訳でもないんだけど。全然YouTube見てだらけちゃったりしてるんだけど。でもテストむずすぎレポートきつすぎなんだよこんちくしょう!! いや僕よりよっぽど辛い思いをしている大学生や社会人はたくさんいるでしょう。ええ、そうでしょう。でもそんな真実とか綺麗事聞きたくないんだ。自分がかわいくてかわいそうなのだ。理系は大変だねと言ってもらって自尊心を満たしたい。

 なんてぼやいてみたんですけど、反省すべきことが。YouTube云々は今に始まったことじゃないんだけど。

 なんかね、昨日急に欲望というかバイブス上がっちゃってね、キーボードつうのかな、電子ピアノをAmazonで買ってしまった。 

 せめて春休みが訪れるまで我慢しなければならなかった。そんなもの買ってウキウキしてる場合じゃないのに。さっきまで留年したらどうしよ〜!って青ざめてた自分どこいった。僕の決して広くはないひとり暮らしのこの部屋のどこにそれを置くかなんてノリノリで模索してる場合じゃないのに!

 でもちょっと聞いてほしい。このブログを読んでくださってるかたになのか理性の自分になのかはともかくちょっと言い訳を聞いてほしい。次のテストは来週の木曜日だからまだ1週間近く時間があるしこの科目に関しては普段からちゃんとやってる上に過去問も入手したから自信があるんだ。それに他のテストは再来週だ。そしてなによりやっぱり息抜きは大事だ。現代のストレス社会にYouTube は必要だと思うし留年の恐怖で鬱々としている青年の精神に新しい風を入れてあげることはとても重要だ、と思う。だから今日僕が本屋に易しいクラシック曲集とか売ってないかな〜って探しに行こうとしてることは当然許されるしもはや愛されるべきことだとすら思うんだ。

負い目とかじゃくて

 ハンカチを拾ってもらったとき。宿題を見せてもらったとき。バイトのシフトを代わってもらったとき。 

 こんなときに「『すみません』ではなく『ありがとう』と言おう」というような言葉がある。

 この言葉は、人に"何か"をしてもらったときに伝えるべきなのは"申し訳なさ"や"負い目"ではなく"感謝"である、という意味だと僕は肯定的にとらえている。

 

 さて、こんなことがあった。

 来週の英語の授業でプレゼンがあり、発表は個人で行うがパワポはグループごとで協力してつくることになっていた。主になって作ったのはそのグループの友達だが、僕たちのグループは作業を分担し改善の余地こそあれど先週までにパワーポイントを形にしていた。発表自体は来週だが、今日の英語の授業で友達はパワポに大幅に変更をしてもってきた。僕はその変更についてあれこれ意見したのだが、そんな僕に友達は小さく言い放った。

「やってもないのに言われたくない」

「え、ごめん……」

 予想外の言葉に思わず謝ったが、僕は正直あきれた。僕が謝る理由なんてなくないか。

 僕は単位さえ取れればいいのでクオリティなんぞ気にしてない。ここはおそらく価値観にずれがあるだろう。それは認める。だが、それが気に食わないならパワポを改良しようと事前に言ってくれればいいものを。勝手に直させてくれというのなら出来上がりにケチをつけないとは約束できないがそれはそれでどうぞご自由にと言ったものだ。もし直してくれと頼まれれば直すさ。無論出来上がりに不満があらば言ってくれ。

 だが勝手に直しといてケチをつけられて「俺けっこう時間かけたんだよ?」とはケツの穴が小さい。感謝こそ求められたとしても申し訳ないと思って欲しいのならお門違いってもんである。あえて僕が申し訳ないと思うことを挙げるならば、そのパワポの変更は改良だとは思えなかったので感謝すら多大には感じにくかったことだ。

 普段僕は自分をあまり前面に出さないので何を考えているかよく分からないと思われてれるかもしれない(と自分では感じてる)が、気に食わないことはどちらかと言えば物申すタイプだ。「1人でやってケチつけられて被害者ヅラとかメンヘラかよあん?」とは流石に言わないが、「直すなら直すって事前に言ってくれないと困る。あとそのデータを使うのは適してないし解説も的外れだと思う」くらいは言わせて貰った。うん、文字にして客観的に考えてみて思う。僕は性格が悪い。

 当然だが、雰囲気は多少険悪になった。覚悟したよりかはマシだったけど。ちなみに僕はこれは大人の対応ではなかったと後悔している。このまま生きてると絶対就職したときとか苦労するに違いない。

 やはり、でも。ちょうどさっき「今日お前んちで鍋しよ! 遅くなるから食材買っといてほしい! スープは豆乳がいい!」と無遠慮にラインしてきた別の友達のあっけらかんとしたその様を見習ってほしいと思う。彼は買い物をしてきた僕に「すまん」ではなく「ありがとう」と言うはずだ。

ああなんかごめん

 お正月に実家に帰省したときに姉から Fire TV Stick なるものをもらった。Amazon Prime がテレビで観れるよってやつ。

 昨日は暇で平和な日曜日だった。まったくどうでもいい話なんだけどさ、いつも僕がぼけっと授業を聞いてる大学の教室では受験生が必死にセンター試験と顔を突き合わせているんだなあと思うと不思議と心穏やかになれるよね。

 映画でも観ようかと早速姉からもらったそれを使おうとしたんだけど、セットアップしてみても反応がない。どうやらリモコンの電池がなかったようで。仕方なく引きこもりモードだった僕の重い腰を上げて近所のスーパーに電池を買いに行った。

 それでスーパーに来たは良かったんだけど、電池が単3だったか単4だったかちゃんと確認せずに家を出てしまったんだよね。スーパーのレジ横の電池が並べられいている棚の前まで来て、さて困った。

 ん~、なんか小さめの電池だった気がするからたぶん単4......でも普通リモコンの電池って単3じゃなかったけ......んん~分かんねえな~

 なんて思いながら電池を手にとってあれこれ考える。悩みぬいた末にあれは単4だったはずだ!と結論付けかけたそのとき、その様子を見ていたらしい初老の店員さんが僕に話しかけてきた。

「お客さん、乾電池お探しですか~」

 小さな商店街の商店や古着屋とかならともかく大手のスーパーの店員さんでもお客さんに話しかけたりすることあるんだなあ、と変に感心した。それともこのおじいちゃん暇なんだろうか。

「アルカリとマンガンとあって用途によってどっちが適してるか違うんですよ。例えばアルカリは......」

 しかも聞いてもないのによく喋る喋る。エディオンの店員さんに製品の説明聞いてるみたい。それくらいに何でも聞いてくださいませと言わんばかりの雰囲気でてる。しっかしまさかこのおじいちゃんの店員さんが「Fire TV Stick のリモコンの電池って単3か単4どちらでしたっけ?」という質問に胸を張って答えてくれるとは思えないなあ。

 まあでも店員さんのご厚意をないがしろにしたくもないので一応アルカリかマンガンかどっちが良いか聞いておくことにしよう。悩んでいたポイントはそこじゃないしぶっちゃけそんなんどうでもいいけど。

「あ~じゃあリモコンの電池だったらアルカリとマンガンどっちがいいですかね?」

「それならマンガンで充分ですよ。単3ですか?」

「えっと、単4です(たぶん)」

マンガンの単4はですね、えっと~」

 そう言っておじいちゃんはマンガンの単4電池を探す。が、おじいちゃんの手がなかなか定まらない。

「あれ? ないなあ......あったと思うんだけど......」

 どうやら棚にマンガンの単4はないらしかった。こういうとき、なんかすんごく申し訳なくなるよね。「マンガンの単4よ、なんで君はいないんだい!? いてくれよ!」って思う。例えばね、女の子が棚の上の所にある本がとれなくて困ってるところにさ、「どいて、俺がとるよ」って男の子がカッコよくとってあげようしたとするじゃん。でも男の子も背伸びしても届かなかった、そんな状況。そんなとき女の子は一生懸命背伸びしている男の子の背中に向かって「お願い! 本落ちてきて!」って祈ると思うんだよね。そんなかんじ。

「あ、えっと、じゃあアルカリでもいいかな。アルカリでも一応問題ないですよね?」

 ほら、なんかおじいちゃんのほうこそ恰好がつかないというか申し訳ないというかそういう感じになっちゃってるじゃん。なんかごめんおじいちゃん。

 ちなみにリモコンの電池は単4で正解でした。

例えばこれから1週間寝て過ごしたらきっとコアラ

 例えば、1日24時間の内の23時間をベッドの上で過ごす生活をこれから1週間続けてみたとする。ベッドの上にいない1時間何をしているかと言うと、生きるために最低限必要な食糧や水の調達やトイレ等である。シャワーは面倒なので多分ほとんど浴びないことになると思う。そしておそらくベッドの上にいる23時間の内10時間は眠るだろう。だが、余った13時間はどうしようか。使い道が思いつかない。ゲームだって読書だってする気になれない。生産性のあることもないこともなんだってできそうにない。なぜ僕が今これから1週間寝て過ごすという突拍子のない空想を繰り広げているかというと、虚無感が今の僕を覆いつくして心が体育座りしているからだ。だから、寝ること以外に何もやる気にはなれそうにない。

 そうだ、やっぱりコアラになろう。コアラは1日のうち20時間寝て過ごしているらしい。動物園でコアラを見たことがあるが、どいつもこいつも檻の外の人間の目なんぞ気にせずファンサービス精神皆無で爆睡していた。それぞれがアホみたいな体勢でアホ面さらしてアホみたいに寝ていた。僕もコアラみたいに、アホみたいに寝よう。世間の目なんて気にせず、アホみたいに寝よう。ベッドの上の23時間の内の20時間は寝てすごそう。

 僕がコアラになるとどうなるだろうか。明日は1限があるが、当然コアラの僕は学校には行かない。1回サボったくらいはどうってことはない。まさにコアラの如く動じない。2,3,4限は実験だが、コアラの僕には関係ない。他の学生が実験装置をせかせかと組んでいる間僕はぐうぐうと眠る。だが、実験は他の科目と違ってシリアスなので一回サボったくらいで平気で単位を落とされてしまう。しかも実験の単位は進級するためには絶対である。よって僕は単位を落とし留年する。きっと僕は、お母様お父様あなたたちの息子はこんなアホなコアラに育ってしまいましたごめんなさいと夢の中で謝る。すごく穏やかな、初夏の河川敷に生えている木につかまって木漏れ日を感じながら眠るコアラになったような夢の中で謝るのだ。

 そうして留年が確定した僕は開き直って本格的にユーカリを食べては寝るだけのコアラになる。明後日もその次の日も早朝のコンビニに水とユーカリみたく栄養のなさそうなお菓子を買いに行ってベッドの上でそれをかじってまた眠る。単位に関わるレポートもテストもスルーする。

 きっと学校に来ない僕を心配して友達が訪ねて来るだろう。ユーカリを食い散らしてごみ屋敷になろうとしている僕の部屋を見た友達は、学校にも来ないで一体何やってんだと呆れて僕に聞く。僕はユーカリを食べる以外は眠るだけのコアラになったから学校なんて行かなかったのさと布団に潜ったまま答える。友達は茫然としているが、僕は人間とコミュニケーションをとることを知らないコアラだし何よりコアラだから眠いので友達に何をしてほしいとも帰れとも言わずそのまま夢の中にまた潜る。だって社会規範なんてどこ吹く風のコアラだからね。コアラにはコアラの社会があるのかもしれないし人間には人間の社会があるが、僕という名のコアラにとってはそんなもんアマゾン川のほとりで砂漠のラクダを想うようなものだ。少なくともその1週間はそうなのである。だから僕は現実から逃れて穏やかに1週間眠り続けるのだ。1週間たったあとは......

 

 

......うん、アホなこと考えてないで勉強するべ。

友達の寂しくなりだした頭皮が、

 僕は将来、ハゲる。

 父さんは僕がものごころついた時から寂しい頭をしていたし、おじいちゃんもつるっぱげだ。父方の親戚のおっさんたちは例外なくハゲばかり。おじいちゃんが僕の癖のある髪の毛を触って、「俺といっしょの髪質だ!」と言ったことがありお墨付き。だから僕の悲しき運命は不可避のものだと確信してるし、受け入れている。

 せめて結婚するまではアンチエイジングに励み、そのときが来たらば潔く丸めようと若干二十歳の時には既に決心はしていた。逆に言えば、まだまだ先の話だとも思っていた。が、認識を改めなければいけないかもしれない。

 1年ぶりに会った地元の友達の頭が、少しヤバかった。中身ではなく、外面が。

 彼は僕と同い年で21歳だ。まだまだ今どきの若いもんだ。彼は昔から女によくモテたし、僕が女だったらきっと惚れてたと思う。そんなかっこいい友達なのだが、悲しいかな、久しぶりに会った彼の頭頂部がどうにも怪しかった。

 最初久しぶりに会ったときはなんとも思わなかった。何も違和感を感じなかった。しかしこたつに入っている彼を上から見たとき、「あれ?」と口に出しかけた。1度気になりだすとどうも目がいってしまう。別の友達の転職したことや結婚したことや高校生の妹の友達とホテルにいったことなどインパクトがありすぎてありあまるエピソードを聞かされてる間も僕は終始彼の頭が気になって仕方がなかった。よく観察すると頭頂部だけでなく全体的に密度が心配だ。以前会ったときもかくも頼りない頭だったろうかと記憶の中の彼を呼び起こすが、その自分の記憶が頼りない。あまり気遣いが得意でない僕だが、さすがに「もしかしてハゲた?」などと直球ストレート160キロど真ん中を投げることなどできずしばらく悶々としていた。

  すると彼のほうからーー僕の心配と少しの好奇の混ざった高めの視線に気付いたからかもしれないがーー職場でハゲをいじられていることを自虐的に話した。ここ1年くらいで進行しているらしく、「最近ハゲたなあ!」と頻繁にネタにされるらしい。やはり彼の頭に暗い変化を見たのは僕の思い込みのせいではないらしい。ただ、同意を求めるように頭を下げて見せる彼に「マジじゃん! ヤバ!(笑)」と言えたら笑えたかもしれないが、昔から大好きな彼のそんな姿を見てネタに走りもできなかった。その彼の職場の人とやらも、もう少しオブラートにというか、彼を慮ってくれても良さそうなもんだ。職業柄ヘルメットを被りっぱなしがちなことが彼の薄毛の原因のひとつかもしれないが、ストレスもその一因でやしないか心配だ。スカルプDでもアートネイチャーでもいいから彼を救ってはくれやしないだろうか。

 しかしあれだ、彼のハゲは他人事ではない。彼の家系だってハゲの遺伝子を紡いではいるが、僕の家だってその点負けてない。彼は僕たちの年齢でも頭皮に濃い影を落とすことを、もとい濃い影を作りだすような油っぽい光を放つ未来の前兆を見せることを教えてくれた。育毛に早すぎることなんてないかもしれない。

行く年来る年、来い恋

 ここ最近一週間くらいはほとんどバイト漬けの毎日だった。友達に誘われて始めた塾講師のバイトだ。学校が冬休みになるこの時期は高校や大学の受験が目前で、塾は冬季講習期間とやらで忙しい。

 まだ毛の生えかけたような新人の僕は、それにもかかわらず最近は人手不足でてんてこまいのどこぞの教室にヘルプのために片道1時間もかけて通っていた。朝から夜まで授業(個別指導ではあるけど)をして、帰ったら泥のように寝るだけ。きつくはあったが、以前やっていた飲食店のバイトと比べれば座っていられるだけ楽だった。何より中高生の生徒と喋っているのは楽しくて性に合っていた。それに、まるで犬か猫のような扱いだけど、生徒の子たちは一時的に勤務してるだけの僕によく懐いてくれた。

 ある中学生の女の子は特に僕によくなついた。彼女はよくパーカーにダメージデニムのジャケットを羽織って黒地に白のラインパンツを身につけているような子で、明るい性格でよく喋り、それでいて年相応の子どもらしさのある女の子だった。彼女は、一時僕と良くしていた女の子と名前が一緒で、どことなく快活なところが似ていたりもした。頭の中で少し重ね合わせないこともなかったが、所詮中学生ーー生徒の中には大人びていてドキッとさせられるような中学生の女の子もいたがーーにどうこうということではなかった。

 その彼女が、クリスマスが過ぎ去って間もないとき、イブも当日も塾でアンニュイに過ごしたことを嘆いていた。そうして彼女同様に塾でクリスマスを過ごしていた僕に当たるように言った。

「センセーってカノジョいないでしょー? 今までいたことあるのー?」

 件の名前を持つ彼女に言われると少し笑えることでもあったが、サえない男だと思われていると思うと少し悔しかった。とは言え、(かの女の子とは関係ないが)図星だというわけでもなかったが中学生の女の子に見栄を張るのも恥ずかしいので、やはり適当な冗談を言ってごまかしてはなんだか寂しさを感じたりもした。彼女が僕にくっつくように「センセーここ分かんない」と言えばその頭を撫でたくなった。そのかわりに「そんなの簡単だよ」とバカにした。

 僕のヘルプ勤務期間は昨日で最後だった。彼女は帰るとき、僕の背中にぶつかって、バイバイと言ってはにかんだ。短い勤務期間ではあったが、今まで見せたことのないような彼女のおぼろげな表情を見て、ここにはもう来てはならない気がした。いつも通りバイバイと言って、見送らなかった。僕が勤務を終えて塾を出たとき、駅まで歩きながら暗く遠い空を見上げてどこか知らない場所を思い浮かべた。

 今日、1年以上前にオーストラリアに短期留学をしていたときに仲良くしていた日本人の友達から久しぶりに連絡が来た。その時の楽しかった思い出はつい最近のことのように思い出されたけど、だからこそーーどんな用件かは分からないがーー今さら会おうという気にはなれなかった。でも、もし僕の預かり知らぬようなどこかを紹介してくれるのならば話は別だけど。