Log(きょうごく)

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都内在住の大学二年生の日記です。とりとめのないことを綴っています。

今年も無情にもこの季節

 去年のクリスマスは中国語のテストがあったので勉強をしていた。今年はどの科目も早めに中間テストが終わったため穏やかにクリスマスを迎えられそうだ。

 11月の上旬、12月のシフトを提出してくれと居酒屋のバイト先から言われた。12月は忘年会シーズンなので繁盛期。店側からすればできるだけ働いてもらいたい時期だ。そして職種関係なくクリスマスイブのシフトはマイナスになりがちだろう。クリスマスに幸せではなく嫉妬を感じる側の自分は、何も予定などないのに何となく見栄を張ってその日は×印をつけてシフトを提出した。まだ希望はあると己を騙して。おそらく人が足りないから誰か入ってくれないかと言われるだろうから、そしたら入ろうと考えていた。

 後日、やはり店長から人が足りない日がいくらかあるので誰か協力してくれとのご令達が下った。無意味でちっぽけなプライドを保とうとしたが、ぼっちはぼっちで変わらず。スマホのカレンダーの24日は何も書きいられることはなく、皮肉にもその空白は目立っていた。クリスマスイブに一人で過ごすのも寂しいのでイブはバイトに精を出すか。バイトを言い訳にしてクリぼっちを回避しよう。そう画策した。

 さも仕方がないのでと言わんばかりの雰囲気を漂わせ、貧乏くじを引く役を立候補した。

「店長、俺24日シフト入りますよ」

 自分の心の内など気に掛けることもなさそうに表面だけ捉えた様子で店長は言った。

「ああ~24日はもう足りたからいいよ」

 予想外の返答だった。唯一クリスマスイブに自分を受け止めてくれると思っていたその場所は無情にも自分を拒絶した。

 晴れて真のクリぼっちになってしまった。年末までシフトを組んでしまったため実家に逃げ帰るという選択肢をとることもできない。いや、実家でクリスマスを迎えるのが最も屈辱的な気さえする。理系ばかりの大学の周りの友達を見渡しても聖なる、もとい性なる夜を迎える人間は多くない。彼らには見栄を張らずともそもそも同じ穴の狢だから気負いすることもない。しかし華の大学生(20)が実家のこたつでだらだらしている様子を見て、親は息子がいてくれる喜びの中に同情の視線を向け、姉は小馬鹿にするに違いない。そう思うとまだ似た者同士で傷を舐め合って過ごすほうがマシな気がするのだ。

 未だ奇跡的な何かで24日に予定が入ることを夢見る同類が思いつかないわけではない。現実を突きつけて真のぼっちだけは共に回避しよう。

 今年も夜は鮮やかなイルミネーションが街を彩り、澄み切る夜空に瞬く星が一層美しい季節となった。しかし、昼を歩けば木枯らしは吹きすさび寒さもひとしお身にしみる。

癌封じの御守りを 烏森神社

 来たのは東京は烏森神社。神社を巡って御朱印を集めるのが趣味なので今回は烏森神社にやってきました、という話ではない。寧ろ新年以外で神社に来たのは、神主さんもいなければ御守りもおみくじも売ってない地元のちっちゃい神社に掃除に行ったのを除けば初めてのはずだ。 

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癌になった人を心配したい

 最近、どういった関係のとまでは言わないが、地元の身内の人間が癌になった。といっても良性の癌だったらしく、手術も無事に終わり既に退院しているのでそこまで重い話をするつもりはない。ただ、再発する可能性は十分にあるらしい。ここ5年で2、30パーセントとか。

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成人式の意見発表を知らない間にすることになっていた

 今から二か月は前のことだったと思う。

 中学の同級生から連絡が来た。卒業以来会っていない同級生も多くいるが、彼には何度か他の友達と一緒に会うことはあった。仲が良いと言えるほどではないけど友達ではある、くらいの同級生。

 スマホに表示されたのこんな文言だった。

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オーストラリア留学記 #25 愉快さと寂しさ感じるクラスメイトとの飲み

 集まったのはブリスベン市内のタイ料理レストラン。おそらくクラスメイトのタイ人の女の子のチョイスだろう。早すぎる時間に行って1番ノリすると楽しみにしていたみたいで恥ずかしいのでちょうど集合時間5分前に行った。以外にも既にほとんどのメンバーは来ているみたいだった。取り越し苦労だったかな(笑)。

 遅刻の常習犯の肩書きがほとんど定着してしまっていた自分に「おっ、ちゃんと時間どおり来たじゃーん」などとクラスメイトにからかわれがながら席に着く。

 ーー朝の通学じゃあるまいしディナーなんだから遅れねえよ。いや、ディナーじゃなかったとしても遅れないけどさ。

 自分のクラスでは毎週一回ぐらいクラスメイトで集まってランチ、もしくはディナーを食べることになっていた。コリアンレストランに集まったり大学のキャンパス内の芝生で弁当を食べたりバーベキューをしたり……。だがそれも今回で最後になる。明後日には自分は日本に帰ることになっているし、自分以外にも短期で留学に来ていて同じ日に日本に帰ることになっている人もいる。日本に帰ったらこのメンバー全員で集まることはないだろう。そう思うとまだ明日も会うのだけれどもちょっとジンとするものがあった。

 メニューを回し見しながら、タイ人のクラスメイトに「これ何?辛い?」と質問を飛ばす。くだらないことを喋りながら「このスープ酸っぱい!」などと言って笑う。スマホにむかってピースをする……。色々喋っていたはずだけど文字にするとこれだけにしかできない。不思議なものだ。

 「この後飲み行こうよ」と言ったのはクラスメイトで唯一の日本人男子。もちろんとても仲良くしている。他に特に仲良くなった日本人7人でディナーの後飲みに行った。

 酒屋でビールやスミノフ、梅酒、ウイスキーなど自由に酒を買いまくり、つまみもほどほどに軽い宴会となった。たまたま居合わせた知り合いから後から聞いた話だが、周りの客からその騒がしさでかなり目立っていたらしいので、軽い宴会だったとは言えないかもしれないが。それに愉快な飲みだったのは事実だ。

 全員出身も大学もバラバラ。田舎育ちの人間もいれば完璧な都会っ子もいるし地方の大学の者いれば東京、大阪の大学に行くやつもいる。それぞれの大学や出身の話なんかで盛り上がった。

 それぞれがバラバラの場所に帰ることを認識すると、日本に帰ったらこのメンバーで集まることは……なんてことをまたちらっと考えなくもなかったがビールと一緒に飲み込んだ。ビールが少し苦く感じた気がする。

 2度目だが、クラスでは日本人男子は自分含め2人しかいないので、後の5人は全員女子だ。日本では理系まっしぐらの大学に行っているのもあって女子ばかりの飲みというのは新鮮だった。何より女子の口から聞く恋愛話は特に新鮮以外の何物でもない。

 自分ともうひとりの男はたまたま大学が近くなのが分かっていたので日本に帰っても交流は続けられる。大学での恋愛話をろくに語れない、日本で冴えないキャンパスライフを送っている我が身を案じて、いや半分笑って、「日本に帰ったら女を紹介してやるよ」と冗談交じりに彼が言った。

 女を紹介してもらえるのもありがたいことこの上ないが、この一か月の出来事がなかったことにならないことが嬉しい。同じビールでも身に染みわたるのを感じた。

オーストラリア留学記 #24 シドニーの夜のお店、入る店を間違えた……

 昼間よりも活気を見せているのではないかと思うほど夜中でも騒がしいシドニーの街を歩いていた。少し前で控えめにあたりを見渡しながら歩いている男友達の足取りからは浮かれ気分が感じられる。

「あれとかよさそうじゃないかな?」

 彼が歩調を緩めながら道路の反対側を指した。

「それっぽいけど……よく分かんないな」

 彼が指した店の前では、黒服のガタイの良い男が店に入る客の身分証を確認しているようだった。よく見ると店の壁にはR-18の文字。看板には黒に赤字の英語が書いてあるが意味は分からない。このときは深く看板など見もしなかった。

「でもセキュリティはしっかりしてるみたいだし、シックな感じでいいじゃん。ちゃんとしたところだろ」

 その店を選んだ理由なんて彼のその言葉だけ、そんなものだった。「クラブに行ってみたい!」というノリだけで夜の街をぶらぶらしてふらっと入ってみました、という具合だ。実は日本でもクラブなど行ったことはなかったが、どうも海外にいると気が大きくなってしまう。

 道路を渡り店の前でガタイの良い男にパスポートをチェックされる。さらにカメラで顔までチェックされる。未だ何の店か分かっていなかったが、セキュリティはしっかりしているようなので少し安心はした。

 受け付けまで案内され入場料$20を支払った。相場など知りようもないが未知の世界への切符代としては高くは感じない。腕に押された入場許可の証のスタンプは大人として認められた証のようで嬉しく感じた。それともスタンプを押されて喜んでいる姿は子供らしいだろうか。

 重々しい扉を両開きにゆっくりと開く。いざ未知なる世界へーー目に飛び込んできたのは裸同然でポールにしがみついて踊っている女性の姿だった。思わず友達と顔を見合わせる。彼の顔には驚きの色がありありと浮かんでいた。本来は陽気に飲んで女の子とダンスをしてお近づきになれる場所に行きたかったのだが。日本語が理解されるはずもないが大音響の中でささやくように言う。

「どうする?出るか?」

「入場料支払ったばっかじゃん。それにこれはこれでアリだろ」

 友の言葉に頼もしさと男を感じた。そわそわしながらもカウンターをスルーして奥の空いているソファに座る。ステージでは、下着姿と言うのが正解か分からないが、上と下を隠していたり上は隠していなかったりする数人の女性がポールを使って刺激的なポーズをとっていた。ステージのすぐ前のソファにはチップを出す気前の良さと変態性欲を持つ客が座っているようだった。チップを胸やお尻と下着との間に挟まれた女性たちは上の下着をとり、そのお客さんと絡む。絡むといっても物理的にしっかり接触するわけではなく、はたまた刺激的な格好で至近距離までせまる。後から知ったが、こういうのをストリップというらしい。

 それに対して他の客はそれぞれにお酒や談笑を楽しんでいるようで不思議な空間だなと思った。あまり興奮を感じなかったのも不思議だ。友とこの不思議な空間についての感想を語り合いつつ、自分たちも何か飲むことにした。カウンターに向かい適当にビールを注文する。やけに値段が高いと感じたがビールの銘柄のせいではないだろう。だがそういうものなんだろうと割り切る。

「ハーイ、お兄さんたち」

 ビールを注文すると店のお姉さんが気さくに話しかけてきた。ちなみにステージ以外の人はバニーガールのような恰好をしていた。もちろん英語で話しかけられたのでよく理解できなかったが、「何分で何円だよー♪」みたいなことを話されているらしいことは分かった。他の客の様子を見る限りでは女の子と親しく喋れるオプションを勧められているのだろうと予想をつける。とんでもない、普通に飲んでも湯水のように金を使いかねないのに余計にジャバジャバさせるわけにはいかない。それに二十歳の日本人男子の目からすればお姉さんたちいい歳してるように見えて仕方がない。しかし、構わずお姉さんは親しげに自分の背中を触りながら話しかけてくる。背中の触り方にゾクッとしたが、これが大人かなんて思った。

 お姉さんの迷惑な誘惑をどうにか断り、ビールをちびちび飲んで目に焼き付けておくようにゆっくり時間を過ごした後店を出た。「変な店に入っちゃったもんだな」と口角の上がった顔で言いながら外に出る。振り返って看板を見上げてみるとやはり赤い文字の意味は分からなかったがその横に書いてある絵が何かは分かった。なんで入るときに分からなかったのだろう。その絵がポールと女性のシルエットなのに気づいたとき、今度は声に出して笑っていた。